「昔入れた銀歯のあたりをフロスすると、糸がほつれたり切れたりする」「銀歯の周りからなんとなく嫌な臭いがする気がする」といった違和感を覚えたことはありませんか?痛みがないため「まだ大丈夫だろう」と放置されがちですが、実はこれらは銀歯の内部で虫歯が再発している代表的なサインです。本記事では、銀歯の耐用年数や劣化の仕組み、見逃してはならない初期症状について、わかりやすく解説します。
銀歯の耐用年数は平均5〜7年
保険診療で広く使われている銀歯(金銀パラジウム合金)は、強度が高く割れにくい一方で、お口の中という過酷な環境下で長期間使用すると経年劣化を起こします。一般的な統計では、銀歯の平均寿命は約5〜7年と言われています。 銀歯自体が腐食して壊れるというよりも、歯と銀歯を接着している「歯科用セメント」が、唾液や噛む力によって徐々に溶け出してしまうことが主な劣化原因です。セメントが溶けてできた目に見えないミクロの隙間から細菌が侵入し、銀歯の下で虫歯が広がっていきます。これを歯科用語で「二次カリエス(二次虫歯)」と呼びます。
見逃してはいけない銀歯劣化の4つのサイン
銀歯の内部で虫歯が進んでいても、外側が金属で覆われているため、見た目には全くわかりません。しかし、日常生活の中で次のような変化が現れます。
- デンタルフロスが引っかかる・ちぎれる 正常な状態であれば、フロスは歯と歯の間をスムーズに通過します。もし銀歯の縁に段差ができたり、セメントが流出して隙間が空いたり、虫歯で歯が溶け始めていると、フロスの繊維が引っかかってボロボロになったり切れたりします。
- フロスや歯間ブラシを嗅ぐと嫌な臭いがする 銀歯と歯の隙間に侵入した細菌は、歯垢や食べかすを分解して強い悪臭(揮発性硫黄化合物など)を発生させます。
- 冷たいものや熱いものがしみる 銀歯の下で虫歯が象牙質や神経近くまで進行すると、温度刺激が伝わりやすくなり、しみる症状が出始めます。
- 舌で触ると段差やザラつきを感じる セメントの脱落や歯の欠損により、以前は滑らかだった銀歯の境目に引っかかりを覚えるようになります。
銀歯の下の虫歯が「神経の除去」につながりやすい理由
銀歯を取り付けた歯は、すでに過去の治療で大きく削られています。そのため、残っている健康な歯の厚みが薄く、銀歯の内部で虫歯が再発すると、あっという間に神経(歯髄)まで到達してしまいます。 さらに厄介なのは、過去に神経を抜いて金属の土台と被せ物をしている場合です。神経がない歯は痛みを感じないため、銀歯の下で歯の根元まで虫歯が進行し、ボロボロになって根が割れる(歯根破折)まで気づかないケースが多々あります。こうなると、歯を残すことすら難しくなり、抜歯を余儀なくされることも珍しくありません。
違和感を覚えたら歯科医院で受けるべき検査
銀歯の違和感に気づいた場合、自己判断せず歯科医院を受診してください。レントゲン検査や拡大鏡(ルーペ)、場合によっては歯科用CTを用いることで、外見からは見えない銀歯内部の影や骨の状態を確認できます。 早期に発見できれば、銀歯を外して最小限の切削で再治療が可能です。痛くなってからでは神経を失うリスクが高まるため、「フロスが引っかかる」という初期のサインを見逃さずに受診することが、大切な歯を守る第一歩となります。
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執筆者
医療法人凌和会すが歯科矯正歯科
理事長 菅 良宜
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